IAA CV 2018のコンセプトは、「Driving tomorrow」。新しい時代の商用車の電動化(Electromobility)、自動運転や運転支援(Digitization)、それに都市物流 (Urban Logistics)がテーマだ。48ヵ国から2174社が出展し、ワールドプレミアの展示は435、来場者は25万人を超えた。大型車両での電動化の課題は多いが、商 用車分野ではようやく本格的な導入期を迎えようとしている。大手サプライヤーのブースでは、アシスタントシステムによる自動走行や自律走行、ネットワーク化 サービスによるドライバーの負担の軽減、さらに48Vマイルドハイブリットなど、環境規制に向け進化したパワートレーンを中心とした展示が数多くなされた。
Full Electric 路線バスが、ヨーロッパの主要都市を走る
ダイムラーは、電動路線バス「eCitaro」の早期運用を開始し、大型車両のe-モビリティ分野での優位性の拡大を図っている。トラックでも「e-Actros」をはじめ、同グループの三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)が「E-FUSO Vision One」を発表した。 フォルクスワーゲン傘下のエム・アー・エヌ(MAN)は「Lion's City E」を展示していた。中央モーターひとつにより、複数の車軸を駆動する新方式を採用している。
小型トラック、バンの分野としてフォードは世界で初めて、PHEVモデルを発表した。フォード「Transit CustomPHEV」は、1.0LのEcoBoostエンジンを小型発電機として搭載し、電動だけで50km走行できる。一方、小型ディーゼルエンジン車は、ヨーロッパで根強い人気を誇っている。
電気モーターは、大型ディーゼルエンジンを超えられるか
メルセデスのブースに展示していた「eActros」は、シャシーの内側と下側に合計11個のバッテリーパックを搭載し、使用可能な総電気容量は240kWhという怪物だ。ドライブトレーンは、ホイールハブの近くに設置したふたつの電動モーターによるもので、最大出力は2x126kW。これで200km 走行できるという。
48Vマイルドハイブリッドは、従来のエンジンシステムに、48Vリチウムイオンバッテリー、インバーターとISG(モーター機能のついた発電機)などの部品を追加するような簡易な構造のため、ストロングハイブリッドに比べて、大幅なコスト削減が可能だ。燃費改善は大型車になるほど効果的といわれる。
オンデマンドで自律走行が可能な電動コンセプトモデルが登場
メルセデス・ベンツは、Vision URBANETICという電動で自律走行可能なプラットフォームをベースに、乗用と貨物用の上部ボディを載せ換える新しいモビリティコンセプトモデルを展示した。乗用モジュールではカーシェアリングとして運用でき最大12人を乗せられるが、貨物モジュールとして利用する際は、最大10枚のEPALパレットを運ぶことができる。
ルノーの「EZ-PRO」は、都市配送でのラストマイルに対するルノーのビジョンを示している。運転操作して主導するリ-ダーPodと、完全無人のフォロワーPodの2種類の「Pod」車両で構成される。フォロワーPodをつなぎ、連隊として移動させることで配送の効率化を図れる。
フォルクスワーゲン「I.D.BUZZ Cargo Van Concept」は、I.D.BUZZの商用版の電動マイクロバスとして登場した。Cargo Van Conceptには、Sortimo製の収納ケースが設置され、後方にはタブレットが装着されている。自動運転機能を搭載し、バックドアを開けると配送先などをタブレットに表示する追尾システムが備わっている。
未来の商用車創りを支える先進のテクノロジー
カーゴバイクは、「ラストマイル 」で重要な存在になった
急激に進化を遂げた48V e-Bike
ドライバーがエンドユーザーへ商品を届ける「ラストマイル」では、自動化や省力化が難しいとされるが、IAA CV2018ではそれらのソリューションとして、電動アシスト機能を備えた48Vカーゴバイクが多数展示された。