point of view
ALUMINUM SHEET PRODUCT
『 採用が増える自動車用アルミ製ボディパネル 』
CO2削減=燃費改善のための軽量化は、自動車にとって喫緊の重要課題だ。
従来のスチールからハイテン鋼へ、そしてアルミ合金への材料置換は、軽量化の有効な手段だ。
ALUMINUM SHEET PRODUCT

フロントフェンダーをアルミ化
することで2.8kgの軽量化実現

ボディの外板をスチールからアルミ合金へ材料置換すると、軽量化できるのは、ご存じの通りだ。ボンネットフードやトランクリッドなどをアルミ化するのは、最近のトレンド。そこで使われるのは、5000 系、6000 系のアルミ合金板材である。採用が増えている6000系はAlにMg(マグネシウム)、Si(ケイ素)を添加したアルミ合金は、中強度で成形性が良好なため、ボディ外板に使われる。また塗装焼き付け時の加熱でより強度が上がる「ベークハード性」という特性も持つ。

マツダ・ロードスターは、旧型(NC 型)ではスチールだったフロントフェンダーをアルミ化(ボンネットやトランクリッドはNC 型でもアルミ合金製)し、鉄材仕様比で2.8kgの軽量化を実現している。ダイナミックな鼓動デザインで絞りの深いフロントフェンダーがアルミ化できたことで、ボディパネルへのアルミ合金の適用はさらに広がっていくだろう。マツダ・ロードスターで言えば、そのキモとも言える、パワープラントフレームには、UACJの高強度構造用アルミ合金製(6061合金)が使われている。

MAZDA ROADSTER
interview

外板はもちろん構造部材もアルミ合金へ

「自動車部品関係は板材、押出材も含めて開発しています。加工技術、そしてCAEによる解析技術も現在では欠かせません。自動車のアルミ合金化の流れはこれまでも何度かありました。しかし、CO2削減のための軽量化というトレンドはこれまでより大きな流れになっています。マルチマテリアル化は自動車メーカーさん次第ですが、軽量化しないとCAFE 規制をクリアできなくなりますから。アルミ合金化すると車両価値が上がるというユーザー意識が生まれると一気にアルミ合金化が進むと思います」

MAZDA ROADSTER

車重1tを切る軽量ボディがセールスポイントのライトウェイトスポーツカーの新型ロードスターはボディシェル領域で前モデル23.0kg の軽量化に成功。そのうち鉄→アルミ合金への材料置換による軽量化は12.1kgを占める。
PROFILE
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新倉昭男

株式会社UACJ 技術開発研究所
第六研究部長(工学博士)

掲載内容、所属先、役職は、Motor Fan Illustrated 発行当時の情報です。