世界を制するクルマに搭載できる
そのモチベーションが開発の端緒
世界最速のF1マシンを支えるブレーキシステムには航空機向けに採用されている特殊なアルミ合金が用いられている。このアルミ合金は、低密度(比重2.5g/cm3)で超々ジュラルミンと同程度以上の剛性が得られる理想的な軽量材料。しかし圧倒的な高性能の一方で、耐熱性・靭性・耐食性・リサイクル性などに課題があり、現在は航空機の構造材など限定的に利用されている。キャリパーやベルなどのブレーキ部材は、レース時の繰り返しのブレーキングで高温にさらされる。大型鍛造品の製造を得意とするUACJ鋳鍛の技術者の大久保、清水は、技術開発研究所とも連携して、それらの高温環境で最大のパフォーマンスが得られる材料特性を徹底的に分析した。ナノレベルの金属組織制御や、熱処理、鍛造法の総合的な研究・開発により、従来合金の欠点を補った高温時高強度アルミ合金を生み出した。またアルマイト処理などの表面処理が美しく映えるような成分調整も行なった。意匠性は量販車向けには重要な要素だ。今この材料を用いたツーリングカーが国際的なレースでトップクラスの成績をあげている。
BRAKE CALIPER(ENDLESS製)
UACJが開発した鍛造材料を用いたブレーキキャリパー。軽量、高剛性、高耐熱性を実現し、さらにアルマイト発色を美しくするための処理までがなされている。大久保喜正
株式会社UACJ鋳鍛掲載内容、所属先、役職は、Motor Fan Illustrated 発行当時の情報です。
ALUMINUM SHEET PRODUCT
ALUMINUM EXTRUDED SHAPES