point of view
ALUMINUM SURFACE TREATMENT
FOR FUTURE AUTOMOBILE クルマの未来を創るアルミ合金の表面処理
拡大するアルミと樹脂の複合部材に求められる接合とは
アルミと樹脂のコラボレーションは軽量化の鍵になるか
マルチマテリアル化の流れのなかで、アルミと樹脂の接合部材は、内装部品に関連したパネル系からインストルメントパネルビーム、ラジエーターサポート、ペダル類などの構造部材にまで広がっている。樹脂単体では、金属材料に比べて強度が低く、荷重による変形が大きいことなどから伸びや破壊の防止を考慮する必要がある。そこでアルミ材と複合部品化することにより、これらの懸念は解消されて軽量化と信頼性が向上できる。一方、複合化する素材毎に熱膨張率が異なるため、高温から低温に及ぶような冷熱サイクルを繰り返せば接合面も影響を受けてしまう。  この問題を解決するためのキーとなる技術は、異材質の接合面どうしの接着性を高めるためのアルミニウム部材の表面処理技術だ。  UACJの高接着性表面処理アルミ『KO処理』は、アルミ部材をアルカリ性電解液中で交流電解し、金属表面に多孔質な酸化皮膜を形成する処理だ。通常の陽極酸化皮膜の数10分の1と非常に薄い皮膜が、樹脂・接着剤・塗膜と強力に密着するため強度・熱伝導性・耐熱性に優れるという。高性能プリント配線基板用として技術が確立し車載用としての利用も拡大しているこの処理が、クルマの軽量化に貢献する日も近い感触を得た。  開発現場では、アルミ部材を射出成型機にセットして樹脂のブラケットを射出により接合させることを想定した試験の準備が慌ただしく進行していた。
PROFILE

KO treatment sheet KO処理アルミ材

接合部周辺の塑性流動により金属を練り混ぜる
接合方法で、異種素材の接合もできる。
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加藤 治

主査
株式会社UACJ
技術開発研究所
第六研究部
加工技術開発室
PROFILE
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近野 佑太郎

株式会社UACJ
技術開発研究所
第六研究部
加工技術開発室

掲載内容、所属先、役職は、Motor Fan Illustrated 発行当時の情報です。